2017-02-07(Tue)

ハードボイルド・ロマンのお手本を、たとえば『南京路に花吹雪』に


このブログはいつしかすっかりドラマ評オンリーのものになってしまっているのですが、
2017年1月からの今クールのドラマで採りあげたいものがないので
今回はひさしぶりの漫画エントリ。



自分的には珍しいことに
私は『おんな城主 直虎』を何年かぶりに観れる大河ドラマと思ってるんですが、
はて、じゃあこの前に好きで観ていた大河って何だっけ、と思い返してみれば
『平清盛』くらいしかないのです。
私が『清盛』を好きなのは
社会の劇的変動と清盛のヴィジョン・人生を有機的にリンクさせてあって
しかも、残念にも哀れな清盛の末路とその在りし日のヴィジョンの皮肉な実現、という
マクロとミクロの対比が
「歴史もの」「大河ロマン」の提供すべき満足点にしっかり達していたゆえです。



そんなことを考えてたら
じゃあ「現代もの」でそういうことをやるとすれば?と思いが飛び、
『SP』とか『クロコーチ』、成功せざる『SPEC』『MOZU』とかが浮かんだのでした。
そして(前置きが長くなりましたが)
少女漫画にはちゃんといろいろあるよなぁ、と思い至り
その一例の好例にこの森川久美作品『南京路に花吹雪』があるのです。ぜえはあ。





「現代」と言いましたが、正確には近現代史に属する時代、第二次大戦直前の上海が舞台。
高校の世界史の教科書にもある、そして高校生時にはたいてい読み飛ばしてしまうような
辛気くさくて退屈で「ドラマティック」でなさそげな時代背景の物語です。
フィクションとはいえ歴史もの、胸のすくような鮮やか大団円エンドにはなりません。
にもかかわらず、そしてわざわざ世界史の復習をするまでもなく、
初っ端から入りこめてノレて震えて泣けてドキドキハラハラの、しかも硬質なストーリー。
本郷さんこと本郷義明、黄(ワン)こと黄子満の
一見全然「ヒーロー」的でもない2人の、しかも仲良しこよし一心同体でもないらしき行動で
時代背景・ドラマツルギー・人間感情・思潮/ヴィジョンの交錯が
無理なく、単純化されることなく、抑えめに、じっくりゆっくり語られていきます。
硬質で抑えた筆致で、難しくて大人っぽい、勧善懲悪カタルシスで片付かないこういう物語が
フツーに「少女漫画」界で人気作として受容されていた80年代の『LaLa』は
改めてすごいなと思わされるばかりです。



今だとたとえば清水玲子『秘密』などにも受け継がれる、
そしてシャレまじりのBL人気なんかも付随的に得てしまう主人公2人の友愛ですが、
私の記憶に圧倒的な強さで残ってる本郷さん&黄の名シーンは
拾われたばかりの悪ガキの黄がかぶりつこうとする缶コンビーフをひょいと取り上げ
卵と合わせてフライパンで炒める本郷さん。
さらっと描かれる回想エピソードのその時、黄は初めて明日のある人生と愛を知ったのです。
TVドラマにも少年/青年漫画にも間接・直接に受け継がれている語り口の妙だと思います。



私は父のコレクションから、先に『南京路に花吹雪』、後で『蘇州夜曲』を読んだのですが、
時系列的には(ストーリーも連載時期も)『蘇州夜曲』が先行作、スタート地点ながら
『南京路』から読んでしまって、序章・前日譚として『蘇州』でいいと思います。
白泉社文庫版には『蘇州』も収録なので好きな順で読めますし。









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