2017-04-01(Sat)

粗あれど忘れられないポリティカル・ロマンの佳作『虹神殿』


2017年4月クールのドラマ群、
キャスト・企画のパブ段階ではまだ興味を惹かれる作品があまりないので
今回もまた漫画レビューで。
エントリ89 で採りあげた『南京路に花吹雪』からの流れともなります。
鳥図明児(ととあける)作『虹神殿』。
1981〜'83年の連載ということで
『日出処の天子』『南京路に花吹雪』とも通底する流れ上の作品で
特に『処天』の影響を主人公の人物造型に感じますが、
それだけでは済まされない傑作、というか傑作性を持つ捨て置けない佳作です。

  



ぶっちゃけた話、まだ画風・画力の面で不充分って粗もあるにはあるのですが、
『処天』『南京路』に比しても特筆すべき美点として
「現代」のどこの国・どんな社会においても成立する普遍的でモダンな舞台取りで
無理なくスリリングでヒロイックで哀感も含んだポリティカル・ロマンになり得ている
って点があります。
インド・イラン周辺、もしくはインド文化圏のどこか、
さらにもしくはポリネシア、中近東、大陸近くの島国のどこか、
ヨーロッパ文化圏国/先進国による現代型経済的植民支配を受け得るような国々なら
どこであっても不思議はない架空の小国で
伝統的な名家/貴族の家柄の青年サーナンがひとり苦闘します。
でも、厩戸王子のような強力な超常能力を持ってるわけでもなく
「闘い」の形も、古代日本の戦と政権闘争や、銃器・武術をも使用する諜報戦ではないので
知能と情報収集に基づく読みと賭けが勝負の地味〜な「闘い」になります。
想定されるエンディング時の善悪/勝利/達成/阻止、「落としどころ」も
政治/経済/民族自決自立的な抽象的なものなので
難しいっちゃ難しい、「ドラマ」として成立させづらい物語なのです。
にも関わらず、ちゃんとノレてちゃんと感情移入できて最後にはちゃんと祝福できる。
国や社会や国際関係に関わる大きな物語を
ひとりの、言うなればギリギリで「少女漫画的ヒーロー」と言える主人公を主軸に
短くも充実した形で語り果せているのです。



連載は『grape fruit』誌。
一号だけ父のコレクションにあったこの廃刊済みの少女漫画(?)誌は
森川久美、樹なつみ、大島弓子、山田章博など私にもなじみある名前が執筆陣にあって
さぞスゴかったんだろうなー、'80年代少女漫画界、とか思わされます。
そしてたぶん(少々強引に)、2000、2010年代の映画・ドラマ界の主クリエイター陣には
その辺りの少年/少女/青年ジャンル越境型漫画で育った方々が多いんだろうな、とも。
まだまだ、まだまだ眠ってる鉱脈たっぷりのはずの、原案・原作元としての漫画資源。
青春恋愛&ファンタスティック恋愛ものの映画CM&ドラマを観るにつけ
もっと「大きな」物語にも挑戦してほしいなあと思ってしまうのでした。









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